今日は今年度最初の授業日。
科目は東北学院大学文学部向けの「地域の課題I(地域企業版)」。
ディープ・アクティブラーニングへの導入を随所に仕込んだ授業設計にしている。
特に今年度力を入れたのは、学科ディシプリンとの接続。
受講する学生たちが、この科目を通して、自分自身の専門分野の学びを深められるように工夫した。
ということで、今日は「ガイダンスと協同学習への導入」。以下のような内容を語ってみた。
目次
1 この科目の目的と目標
この科目は、地域企業の課題をテーマにして【知のつくり方】を体験的に学ぶことを目的とし、講義で取り扱う地域企業の課題を、【自らの専門性と関連させて】見出し【論理的に示す】ことができる。さらに、【異なる分野の考えを取り入れて】、より多面的に課題を示せるようになることを目標とした。
2 なぜ地域?
文学部を含む多くの学部における学びの対象は人間の営みであり、そこには【空間(地理、気候)と時間(歴史、文化)の複雑な文脈】が埋め込まれている。
地域をテーマに学ぶことで、学問体系の中にある「一般解」から個別の文脈に応じた「特殊解」を構築することと、多くの「特殊界」から一般化して「一般解」を導き出すことの双方に取り組むことができる。
これを効果的に進めるために、①Input、②Output、③Reflection、④Updateという四つのフェーズからなる学びのサイクルを回す。このサイクルの中では、【他者と学ぶ】プロセスが重要で、この授業では「対話」と「議論」というふたつの方法を用いて他者と意見を交わし、自分の考えを深めていく。
3 講義計画
講義は大きく三つのフェーズに分かれる。
第一に、受講生自身が世界を捉えるフレームワークを理解する。第二に、地域企業の現状と将来、課題を同じ学科の受講生同士で検討し、深い理解を目指す。第三に、異なる学科の受講生同士で地域企業の現状と将来、課題を検討し、多面的な理解を図る。
ここでは
【フレームワーク】 世界を理解し問題・課題を解決するために用いる思考の枠組み
が重要な役割を果たす。学問的な裏付けを持つフレームワークの原型をこの授業で構築してほしい。
3 評価
評価は、どれだけできたかを点数化することではなく、どうすればできるかを言語化することに重点を置く。そのため、毎回提出するミニッツペーパーへのフィードバックを形成的評価として活用する。
評価指標については、「他者と協働して未来を創造するための知を生み出せる」ようになることを遠いゴールとして設定し、①持続的挑戦、②ネットワーク分析、③ネットワーク構築の三つを基本的な評価指標として設定し、この科目での対応する下位指標として、
- メタ学習:自分が世界をどのように理解していくか」というプロセスを理解すること
- フレームワーク:世界を理解し問題・課題を解決するために用いる思考の枠組み
- 多様性:自分とは異なる様々な価値観を受容すること
を用いる
4 対話型グループワーク
対話型グループワークは、互いの【価値観の違い】を共有し理解するためのグループワークである。
ここでは、他者の意見を、①共感、②理解、③尊重の三段階の何処かで受け入れられるようになることが望ましい。自分と異なる他者の意見に対してどのような受けとめ方をするか、自分自身で理解できるようになってほしい。