実践型インターンシップの前段階としての課題解決型インターンシップ

大阪のとある大学からご依頼をいただき、短期インターンシップのコーディネートを行った。
普段コーディネーター養成講座などを担当しているが、現場はずいぶん久しぶり。
しかも、2週間という短い期間で、なおかつ大学での学びを生かせるようにしたいとのオーダー。
期間としても、先生方の意向としても「実践型」に持ち込むのはいささか時期尚早。
そこで、大阪府下のとある中小企業さんの経営上の課題に応える、すこしライトな課題解決型のインターンシップとして設計した。

ライトとはいえ、企業の課題解決や経営革新につながる者でなければ、受入企業にとっても学生にとってもメリットは薄い。
今回は、とある製品素材の海外進出をテーマに、それに必要な手続きや書類の整理を行うことをミッションとした。

参加したのは、実家が中小製造業という法学系の学生。
非常に優秀かつまじめな学生で、ミッションである輸出用の手続き関係の課題と解決策を二週間でマニュアルとしてまとめ上げた。

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今回のインターンシップは、仮説検証を繰り返すタイプの実践型インターンシップではない。
したがって、参加学生が仮説検証型の思考行動特性を獲得するには至らない。
むしろ、大学での学びを実社会の中で使うことで、知識の獲得から定着へのプロセスを強化するものになった。
大学教育の中では、知識の定着・応用部分は、実験やゼミを通して行われるのだが、それだけでは視点が学術的なものにとどまる。
実社会の課題に取り組むことを通して、

社会との関わりの中で自らの知識を応用し新たな知恵を作る

プロセスを作ることができる。
これは社会科学や人文科学分野では、ある程度の有用性を持つだろう。

今回のインターンシップは、応用のフェーズには届いていない。定着止まりだ。
もっと平たく言えば、

すでに学んだ知識を想定内の範囲で活用した

ということになる。
今回の例で言えば、結果が想定できるマニュアル作成にとどまらず、

やってみなければわからないビジネスの別の可能性につながる取り組み

まで進めるようにしたいところだ。

そこには、試行錯誤または仮説検証のプロセスが必須になり、さらに突っ込んだプロジェクトの設計が必要となる。
また、得られる学びの周囲も変わるため、学内での理解も進めていかなければならない。

ま、いきなりすべてを望むのは欲が深い。
少しずつシフトさせていくように努力しよう。

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