今日は大学で「地域の課題II」の授業。

この科目は、地域企業の経営者に学生がインタビューをして、その企業の課題を洗い出し、解決のためのプロジェクトを設計しようというもの。
まるでインターンシップコーディネーターの仕事のようだが、学生が「自分が取り組むことを想定したプロジェクト」を設計するという点が少し違う。

学生がプロジェクト設計までできるようになるために

  1. 課題解決の基本プロセスを理解する
  2. 事前調査を通して、課題の「あたり」をつける
  3. 「あたり」をもとにインタビューを実施し、「正しい」課題を探る
  4. 「正しい」と考えた課題を他者と相互に評価し、より深く掘り起こすための材料を見つける。
  5. 再びインタビューを実施し、課題を確定させる
  6. 確定した課題に対する解決プロジェクトを設計する
  7. プロジェクトをブラッシュアップして精度を高める

という流れを作っている。
前半が課題発見のプロセス、後半が仮説設定のプロセスだ。

今日は実質的な初回ということで、前期の授業をふまえて、Going Concernを前提とした企業の「あるべき姿」を見出すために「財務」「顧客」、「プロセス」、「学習と成長」という「戦略マップ」で用いられる四つの視点の概略を示し、そこへ至るために乗り越えるべきハードルとして「課題」を見出すという道筋をミニ講義で示した後、ケース教材を活用して模擬インタビューを行った。

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ケース教材は、地域の小売業の事例。年商5億、経常利益率10%ほどの優良企業をあえて題材とした。
これは、問題と課題をしっかり切り分けさせるため。そして、企業が環境変化との相互作用の中で自分自身を変化させなければならないことを理解させるため。こちらの意図が短時間で十分に飲み込めるとは思わないが、いづれ気づくように種を巻いている状況だ。

模擬インタビューでは、ケース企業の経営者と社員の関係性や、経営者とその父親との関係性、経営者のビジョンといったことに関する質問が投げかけられた。
経営学の「け」の字も学んだことのない学生が、こういった切り口で質問できることはとても素晴らしい。ただし、

切り口はよいが踏み込みは甘い

というのが現状で、「ああ、そこもっと深掘りしてくれよ」と経営者役になりきった私は内心で朝権でいたし、一緒に授業を担当している教養学部の和田教授からは学生に対してその旨のフィードバックがあった。
来週は、模擬インタビューのリベンジ。どこまで「あたり」をつけ、質問項目を練り込んでくるか、とても楽しみだ。

それにしても、教員が次の授業を楽しみにできるような学生たちって、本当にありがたい存在だなとしみじみ思う。