聖和学園短期大学にて、第1回COC+推進コーディネーター養成講座を開催した。
この養成講座は、宮城県でのCOC+「みやぎ・せんだい協働教育基盤による地域高度人材の育成」事業の一環として、地域や企業と連携して、ディープ・アクティブラーニングの仕組みを作ることができる教職員を育成しようというもの。
イメージとしては、実践型インターンシップのコーディネートと大学の授業の両方を設計・運用できる人を大学の中に増やそうというのがわかりやすいところだろうか。
とは言え、いきなり実践型インターンシップのコーディネートに資する講座を展開しても、なかなかアクティブに学んでいただけるものではない。
ということで、まずは、ディープ・アクティブラーニングにつながる授業設計の基本を、様々な事例を通して学んでいただき、参加した先生方それぞれの授業にどう適用するかを考えていただいた。
目次
1 事例共有とポイント紹介
まず、これまでに自分自身が関わってきた事例を、オムニバス型、教室内アクティブラーニング型、PBL型の3つに分けて紹介した。
オムニバス型の場合は、外部講師が好きなように講話をするような形式を何回連ねたところで学習効果にはつながらない。全体を統括する教員が糸を持って講師を配置することが重要。15回の授業を三つ程度のユニットに分け、それぞれにテーマや学習目標を定め、振り返りをするのが効果的だ。
教室内のアクティブラーニング型授業の場合、学生間の相互作用を引き起こす仕組みに加えて、
教員との相互作用、すなわち形成的評価の仕組み
を作ることがとても重要だ。
PBL型の場合には、仮説検証プロセスを繰り返すことが必要なプロジェクトを設計することと、学習効果に対する責任を学外に委ねずに教員が責任を負うことが求められる。
インターンシップを例にあげれば、受入企業は自社の成長発展のためにインターン生を活用して仮説検証に取り組むことに集中すれば良い。一方で、大学はその環境を活用して学生の仮説検証型の思考行動特性を強化したり、一般解としての専門知識をそれぞれの文脈に適応させる訓練を行う。それぞれ異なる目的を持ちながらひとつのプログラムとして成立する。それを実現するからこそコーディネーターが生きるのだ。
今回の講座では、ディープ・アクティブラーニングにつながる授業設計に必要な要素として
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認知的コンフリクト:既有の知識で対応できない課題設定
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学生間の相互作用:対話と議論の組み合わせ
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形成的評価:迅速で信頼性の高い教員からのフィードバック
の三点に加え、カリキュラム上の位置づけを考えるために
知識、推論、応用
のどの学習スタイルを重視するかをカリキュラム全体の中の位置づけから明確にすることをお伝えした。
2 ワークショップ
講座の後半はワークショップ。
参加した先生方が設計したい授業を、オムニバス型、教室内アクティブラーニング型、PBL型、その他の四つに分類し、同じようなタイプの授業を設計したい先生方どうしでグループになり、認知的コンフリクト、学生間の相互作用、形成的評価をどのように仕込むか、そして、知識、推論、応用をどのように配分するかを考えていただいた。
ワークに使えた時間は実質的には20分ほどだったので、すべての項目について十分に話ができたグループはなかったが、多くのグループで認知的コンフリクトをどう設定するかという点については随分議論がされたようだ。
学生が逃げないギリギリの高いハードルを設定してください
とお伝えしたのが分かりやすかったらしい。日頃授業を担当している人たちだからこそ真剣に考えられるし、適切なハードル設定ができていたようだ。
今日の講座は、できれば3時間以上ほしい内容を2時間でやらなければならないという条件だったので、参加された先生方には申し訳ないが十分に深く考える時間を確保できなかった。次回同様の講座を実施する際には、そのあたりの条件もしっかり整えるようにしたい。