皆さま、あけましておめでとうございます。
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2017年がスタートした。
なぜ、当時を1年の区切りにしないのだろうか、などというどうでもよい疑問はおくとして、今年1年で取り組みたいことを備忘録的にまとめておきたい。
目次
1 主体的な学習に関わること
あえてアクティブラーニングとは言わず、「主体的な学習」としたのは、表面的な手法でないのはもちろん、戦略的なカリキュラムベースの話でもないことに取り組みたいからだ。
大学教員であれ研修講師であれ、教えるという仕事に取り組む中で大切なことの一つに、「学ぶ人が本気で学びに取り組める環境をつくる」ことというのがある。そのための一つの仕掛けとして、既有の知識では対応しきれない難しい問題、すなわち認知的コンフリクトを提供するというのがあるが、そこに、学習者が「自ら面白がって」挑戦できるようにしたい。
それを実現するヒントは経験学習の環境設定にあるのかなと考えているが、まだこれは仮説の段階。今年中には検証を進めていきたいと思っている。
2 評価に関わること
これは学生の評価と、事業の評価の二つがある。
学生の評価については、これまで進めてきた形成的評価をいかに効率的に実施するかというのがテーマになる。
形成的評価というのは簡単に言えば、それを行うことで、学生がより望ましいパフォーマンスを発揮できるようにするための評価のこと。
学期末の試験で点数をつけるのではなく、逐次適切なフィードバックを提供すれば、学期末までにどんどん良いパフォーマンスを出せるようになれるというものだ。
今年度は、フィードバックの視点や基準を学生に示すことで、学生が自分自身に対して形成的評価を実施できるようにしたい。
もう一つは事業の評価。企業が取り組む事業には利益という明確な評価基準があるが、それ以外の事業には利益を評価基準にするのが必ずしも適切ではないものも多い。
今取り組んでいるCOC+事業などでは、投入した税金に対してどれだけのアウトカムを実現したかをできるだけ多くの人が納得できる形で示せるようにしたいし、もっと数字で表現しにくい事業についても評価できるようにしたい。
その先に、「数字や言葉で表現できないもの」を理解するための営みが意味を持つようになると思うからだ。
さしあたり取り組むのは日本語テキストマイニング。
お世辞にも統計学が得意とは言えない自分にはいささか難業ではあるが、どうやら避けて通れないようなので、覚悟を決めて取り組むつもりでいる。
3 創発型ミドルマネージャーの育成に関わること
2016年は大学での仕事が中心になった。2017年も最優先は大学で取り組んでいるCOC+事業になるが、ここであえて企業に関わる部分いも力を入れたいと考えている。
特に力を入れたいのが、現場での試行錯誤を企業の全体戦略の中に取り込むことができる創発型ミドルマネージャーの育成だ。それは、複雑適応系としての組織をハンドリングするのではなくハーネシングするコーディネータータイプのマネージャーだ。大きな企業では、そういう人材が育ちやすい環境を社内の一部に意図的につくることもできるが中小企業ではそんな余力も意識もないのが普通だ。
しかし、明らかな成功戦略の存在が望めないけいえいかんきょうのなかでは、たとえ中期経営計画を綿密に作ったとしてもそれですべてがうまくいくものではない。つねにイノベーションのタネを探し、試行錯誤を繰り返す仕組みが企業の中に意図的に組み込まれている必要がある。
実践型インターンシップなどはその仕組みの一つとして進めているのだが、別のアプローチとしての研修プログラムの精度を高め、かつ多くの人に価値を理解してもらえるようにすることを目指している。
春にはブラッシュアップされた研修プログラムをロールアウトするつもりでいるのでご期待いただきたい。
言行一致がつねに成立するならこれほど良いことはないが、そううまくいかないのが人の常。だが、だからこそ努力に意味が生じる。
人が人である所以は、努力できることにあるのではないか。
そう自分を叱咤しつつ良い一年を過ごしたいと願っている。
本年もよろしくお願い致します。