研修トリプルヘッダーin西粟倉

エーゼロ株式会社さんのご依頼で、岡山県西粟倉村に出張。
これまでにも定期的にお邪魔していたのだが、今回は二日で三つの講座を担当するという、なかなか意欲的なスケジュールだ。

5月9日、朝の飛行機で神戸に飛び、そのままレンタカーで西粟倉へ移動した。
午後、到着後すぐに三つの講座の打ち合わせを開始。それぞれの現状と落とし所に関してご要望をいただき、講座の内容を調整した。

インターンシップコーディネート勉強会

最初の講座は9日の夕方。エーゼロ株式会社のみなさんに対するインターンシップコーディネートの勉強会だ。

「地域経済を醸す」という理念を掲げるエーゼロさんだけに、中小企業の経営革新というセンスよりも、

地域の生態系を育む会社が進めるインターンシップとはどんなものであるべきか

という問いを最初に立て、地域の生態系に「異物」としてのインターン生を投入することでゆらぎを与え、それを増幅して地域のダイナミクスを変えていくようなインターンシップのあり方について解説した。
ここで重要なポイントになるのは

  1. 地域内の相互作用を変化させる
  2. 高い成果に向けた仮説検証を繰り返す
  3. 創発的戦略に結びつくかという意味づけをする

の三点を仕込んだ設計をするとことだ。
それは地域内の人たちの相互作用のネットワークや関係の強さを変えるもので、それらが『異物」の投入によってどう変容するかを観察しながら、適宜介入していくことで、ゆらぎをうまく増幅させることができる。

そこまで想定してインターンシップのプロジェクトを設計するとすれば、受入企業の選定も地域内の相互作用のネットワークをどのように変革するかという視点で考えることになる。
その企業のビジネスモデルや組織のあり方を進化させることが、地域内で十分に大きなゆらぎとなるような受入企業を選ぶ必要がある。

通常のインターンシップコーディネートの研修では、基本的には企業の経営革新に意識を向けるが、地域全体の構造を変えていこうとするなら、ここまで意識した設計が求められる。

ローカルライフラボ研修会

二日目は朝から少し打ち合わせをしたあと、「自分×地域=ナリワイ」を研究するローカルライフラボにて研究生の個別相談と研修会。

ローカルライフラボというのは「地域おこし協力隊」の仕組みを利用して、西粟倉村(他に北海道の厚真町でも実施している)での起業を見据えた仮説検証を繰り返す挑戦の場。
当然のことながら、次々と商品やサービスのプロトタイプを市場に投入して、それに対する反応を検証することが求められる。
このプロセスが速いほど、言い換えれば、市場からのフィードバックが多いほど事業の成功確率は高くなる。
とはいえ、人間誰しもマイナスの評価を受けたいと思うものではない。
その結果、

自信のないものはリリースしない

という守りに入ってしまうということがしばしば発生する。
しかし、自信というのは、何かを実行して成果を出した結果初めて身につくものであり、「自信のないものはリリースしない」という姿勢では、一生何もリリースできないということになる。
どの研究生も、基本的に真面目で一所懸命なのだが、事業を成功させるためのスピーディな仮説検証が進んでいるとは言えない状況だった。

そこで今回の講座では、あえてマイナスの評価を受け止めて、そこから改善するということに取り組んでもらうことにした。
私やエーゼロのスタッフから少し厳し目のフィードバックを提供し、そこから自分の考えや行動を改善できるということを体感してもらうようにした。
今後は研究生同士が互いの事業を成功させることに責任を持ち、切磋琢磨しながら支援し合える関係をつくることができるようにサポートしていくつもりだ。

地方創生推進班テーマワーキング

二日目の夕方からは、西粟倉村役場の地方創生推進班のテーマワーキング。
簡単に言えば、役場職員が自分自身の問題意識をもとに村の将来につながるプロジェクトを設計し実行していくというものだ。

2017年から続くこの取り組みには、これまで11人のメンバーが参加してきた。
それぞれの問題意識に基づくプロジェクトを設計し、互いに支え合い淘汰する中で四つの「シンボルプロジェクト」を生み出し、実行してきた。
今年度は、これらのプロジェクトの持続可能性を高めるべく、行政と民間の枠を超えた仕組みを整え、村としての戦略に組み込む「正式化」のプロセスを進めることになっている。

更に今年度は、「二期生」として5人の新メンバーが加入した。
二期生は、11人の「一期生」のサポートを受けながら、村のビジョンである「生きるを楽しむ!」に通じる自分起点のプロジェクトに取り組む。

一期生と二期生が互いに影響を及ぼし合いながらプロジェクトが進み、その中で見込みのあるものが正式化され村の総合計画や戦略に組み込まれていく。
そのような創発的戦略を実践できるプロデューサー型の行政職員を育て、彼らが育ち活躍できる創発型組織を役場内に、やがては役場の外をも巻き込んで構築するためのワークショップが、このテーマワーキングだ。

創発的戦略などという単語が普通に語られる村役場は日本中探しても他にはないだろう。
そんな村で、創発型の組織やコミュニティが形成されるように伴走、ないしは介入できることを、とても幸せに思っている。

次回の西粟倉訪問は6月末。
今から待ち遠しい気分だ。

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