アクティブ・ラーニングで教員は「正しい思考プロセスを他者との協働関係の中で進めているか」を問う

9月9日から11日にかけて、南大阪地域大学コンソーシアムの単位互換センター科目「キャリアと社会」(通称「関空合宿」)の総合ファシリテーションを担当した。

この講座は、関西国際空港の課題解決をテーマに、2泊3日の合宿型で行うキャリア教育講座。
2006年に開講して以来ファシリテーターを仰せつかってきたのだが、仙台へ移ってからの2年はお役に立てない状態でいた。
今年ひょんなことから日程が空き、お声がけもいただいたので、久々の「前線復帰」という気分で参画した。
同時に、これまでのプログラムを振り返り、よい点や改善点も洗い出したいという意図もあった。

「キャリア教育」講座であり、「キャリア支援」ではないので、就職という言葉は一切出ない。
この講座の目的は、大学生として必要とされるジェネリックスキル(汎用的能力)の獲得。
目標は、汎用的能力の基盤となる論理思考と仮説検証型の思考行動プロセスを体験的に学び、「思考リテラシー」を理解することだ。
そのための仕掛けとして、「関西国際空港の課題解決」と「チームでの取り組み」という二つの枠組みが仕込まれており、「課題解決提案」そのものよりも、そこへ至る思考と行動のプロセスが重要視される。

講座の流れは、以下の通り

【1日目】

  1. チームビルディング
    できるだけ見ず知らずの人とチームを作るように条件設定し、跡は学生自身にグルーピングをゆだねる。その上で、グループがチームになるための要素を示し、どのような振る舞いが必要であるかを考えさせる。
  2. ミッション提示
    関西国際空港の現状とミッション「お題」を提示し、それに答えるために解決すべき課題のヒントを提供する
  3. 視点設定
    与えられたミッションを元に、どのような視点で関西国際空港をとらえるかを考え、発表する。教員は、その視点を生かすためにどのような調査や、思考の整え方をアドバイスする

【2日目】

  1. 一次仮説の検証
    前日のフィードバックを元に第一次の仮説を設定し、フィールドワークやインターネットリサーチで検証する。
  2. 企画提案作成
    調査結果をもとに、企画を作りプレゼンテーション資料にまとめる
  3. 中間発表
    企画提案をいったん発表し教員のフィードバックを得る。

【3日目】

  1. 企画とプレゼンテーションのブラッシュアップ
    教員のサポートのもと、企画内容やプレゼンテーション資料、プレゼン方法等のブラッシュアップを行う
  2. 企画プレゼン
    関西国際空港関係者に対して、各チームの企画のプレゼンテーションを行い、フィードバックと審査を受ける。
  3. 振り返り
    3日間の講座の中での自分の思考や行動を振り返り、その変化の定着を促す

このプログラムの中で、最も重要なキモとなるのは

企画そのものに対するフィードバックではなく、思考行動のプロセスに対するフィードバックを行うこと

につきる。

正しい思考プロセスを他者との協働関係の中で進めているか

論理思考で言う論拠、証拠、主張の関係性や、独りよがりの閉じた議論の可能性を示唆するのが教員の役割だ。
だから、この講座に参画する教員の専門は何でもかまわない。
ただ一点要求すべきは

研究や実務を通して、自ら新しい知を組み立てる作法を知っている

ということ。
大学教員の最大の強みはここであり、大学生が学ぶべき最も重要なこともここにある。

さらに、このプロセスを最後に振り返ることができれば、一番よい形になる。この振り返りを、学生の感情に流されずにファクトベースで進めるのも教員やファシリテーターの大事な役割。

講座の最中は、企画提案に集中させ、振り返りの段階で学びの観点からの意味づけをする。途中で教育的意図をむやみに絡ませない。

これはアクティブ・ラーニング系の講座がうまくいくための簡単なコツだ。

これらのことを私自身が実体験を通して学んだのがこの「関空合宿」。来年度参画できるかどうかはわからないが、できる限りはお役に立ちたいと思う。

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