アクティブ・ラーニングにおいて大学教員に必要なのは「話芸」ではなく、「知を創る人」としての問い

今日は大阪の追手門学院大学社会学部様のお招きで、アクティブ・ラーニングをテーマとしたFD研修の講師をさせていただいた。

アクティブ・ラーニングは、大学の教育改革の流れの中でここ数年で急に注目され始めたキーワードだが、その実態はつかみにくい。

多くの場合は、ディスカッション型の授業やPBL(Project Based Learning)をすることとほぼ同義にとらえられており、アクティブ・ラーニングの研修も、ファシリテーション術の講座になる傾向がある。

しかし、本来のアクティブ・ラーニングの意味は、学生の主体的な学びを引き出すこと。
教員の手のひらの上でのディスカッションではなく、学生が自ら未知の問題に対して取り組めるようにすることが必要だ。

そのためには、

  1. 状況や課題を正確に分析・特定する
  2. 原因と結果・影響について、裏付けを持って論理的に推論する
  3. 1と2を踏まえて、未知の問題に対して知識を応用する

というプロセスを、できるだけ再帰的に踏むことができる仕掛けが必要だ。
これらをカリキュラム単位、科目単位で組み込むことで、学生が自分の周囲のすべての事象から学びを得られるように導くのが、アクティブ・ラーニングの要諦だろう。

これは、研究に取り組む姿勢を育てるプロセスそのものでもある。
そう考えれば、大学教員にとって、アクティブ・ラーニングはむしろ必然のものになる。

 

アクティブ・ラーニングに取り組む大学教員にとって必要なのは話芸ではない。
新たな知をつくる研究者としての「問い」の立て方と、それが生きる場の設計だ。

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