「生きるを楽しむ」村でプロジェクトをつくる

2018年2月9日。53回目の誕生日は、岡山県西粟倉村で迎えた。
この日は、エーゼロ株式会社さんのご依頼で昨年来お手伝いをさせていただいてきた、「テーマワーキング」の最終回。
「テーマワーキング」というのは、村役場の職員たちが、これからの村のために自らが取り組むプロジェクトを設計する場。
もちろん役場職員だけではなく、村の内外の人を巻き込んで進める必要があり、そのための仕掛けまで考えるものだ。

1 チェンジ・エージェントとして

テーマワーキングは2017年6月から6回実施し、そのうち4回を私が担当した。

第1回では、行政職員をチェンジ・エージェント、すなわち改革の促進者として位置付けし、

経営のトップや地域のリーダーといった立場でなくても、現場の小さなできごとを増幅して全体戦略を修正していく

ために、小さな仮説検証を数多く評価することが必要であるといったお話をした

その上で、プロジェクト設計の手法として

  1. 視点を定めて要素を抽出する
  2. 現状をファクトで記述する
  3. 未来の可能性を描く
  4. 乗り越えるべき課題と仮説を見出す
  5. 支援環境を整える

といった流れをお伝えして、早速プロジェクト設計に取り組んでいただいた。

2 互いに語り応援する

第2回のテーマワーキングは9月。
この回のテーマは「プロジェクトを互いに応援する」こと。
第1回以降に一人ひとりが自分の視点や問題意識をもとに設計したプロジェクトの素案を共有し、ブラッシュアップする場とした。

ただ本当の目的は、素案のブラッシュアップではなく、

お互いの問題意識に共感しあえる関係をつくる

という点にあり、それぞれの人が周りの人を「どのように応援できるか」を考えることで、この先の協働が進みやすい環境にすることを目指した。

その後第3回(この回はエーゼロのみなさんが担当)、第4回のテーマワーキングを経て、それぞれのプロジェクトがどんどんブラッシュアップされる一方で、協働プロジェクトができたり、ほかのプロジェクトとの連携を前提としたものになったり、互いの相互作用が上手く進んでいった。

3 創発型戦略に向けて

今回のテーマワーキングでは、創発型戦略が一つの合言葉となった。
役場の人一人ひとりが、村の中で様々なチャレンジを生み出すことの意味を理解したとも言える。
その中で出てきたプロジェクトは、どれもチャレンジングでしかも提案者自身がアクションを起こす意欲に溢れえたものばかり。
さらに村の内外との協働や、村の資源の掘り起こしなど、多くの要素が盛り込まれたものとなった。

第6回のテーマワーキングの場では

  • 地域とおかあさんといっしょに作る「心安らぐ時間」プロジェクト
    「お母さんの休む時間を取りたい」からスタート。最終的に、お母さんが預けられる環境ではなく、地域とつながり、そういったつながり、たくさんの輪ができればよい。預けられる環境づくりからスタートして、お母さん同士の繋がりができ、孤独なお母さんがいなくなるところに持っていきたい。
  • 「あわくらんど」第二駐車場に屋台村プロジェクト
    飲食店はあるが、さらに飲んでいきたいと思っても飲みに行く場所がない。ニーズはあるが、開業するには場所の確保が難しかったり、PRや地元との調整に壁があったりする。屋台を使ってローコスト、ハイスピードで食を通した人の繋がりをつくりたい。
  • 科学と非科学飽くなき探究プロジェクト
    「最新テクノロジーは、ひと、地域を『幸せ』にすることができるのか?」をコンセプトに、テクノロジーを知る、実用化する、応用するための研究所をつくる。研究コーディネーターを配置し、専門家と連携して村をフィールドとした研究を進める。
  • あわくらみらいアカデミープロジェクト
    地域全てをフィールドとし、子どもたちが感じ、考え、チャレンジする場をつくる。学校教育を基礎として、子どもたちのやってみたいを大切にして、ひとづくりを進める。

といったものが協働プロジェクトとして提案された。
その他にも、個人プロジェクトとして

  • さみしくない村プロジェクト〜家族ができる村〜
  • もっとマーケティングプロジェクト
  • コミュニティ専門職プロジェクト
  • ZEH付き住宅兼モデルハウスプロジェクト

などといった、興味深いプロジェクトが提案された。

イノベーションの種をどんどん巻き、芽を出させ、そこから育てるものを見出していくといったプロセスが、最も計画性を求める役場の中で展開されるようになると、地域へのインパクトはかなりなものになるだろう。
数年のうちにそれが実現することを期待している。

追記

この「テーマワーキング」と並行して、これからの村のあり方を考える取り組みが進んでいた。
「百年の森」をテーマに地域づくりをしてきた村が、様々な紆余曲折を経て導き出したのが

生きるを楽しむ

という一言。
今回発表されたプロジェクトも、全てここに通じているように感じる。

そこで暮らす人すべてが「生きるを楽しむ」村。
それは、何かに流されることなく、人が人らしく生きられる場所なんだろうと勝手に想像している。
そんな村や街がたくさんできたら、もしかしたら「文明」のあり様まで変わるのではなかろうか・・・というのはさすがに飛躍し過ぎかな。

(Visited 43 times, 1 visits today)

関連記事

  1. 「私はこのように考えているのですが、じっさいはどうなのですか?」と問う…

  2. 地域人材コーディネーター養成講座実践編スタート

  3. 大学教育と胸を張って言えるインターンシップの要件

  4. 「明日の利益」のために稼ぐチームを育てる

  5. 知識を構造化するコンセプトマップ

  6. 権限委譲と面談の組み合わせが部下を育てる

  7. 心理学の授業でのディープ・アクティブラーニングに向けた試行

  8. 経営革新のために変えるものを決める

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

Calender

2018年2月
« 1月   3月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728  

Popular Posts

Latest Tweets