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創発型戦略のコーディネートができるマネージャーを増やす

今日は、大阪産業創造館(産創館)主催の「学ぶ職場」ゼミの最終講。参加者の皆さんに、この二ヶ月間の成果報告と、そこで生まれたノウハウの共有をしていただいた。

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「現在の利益」と「将来の利益」

今回の「学ぶ職場」ゼミでは、「稼ぐチーム」を育てることをテーマにした。
「稼ぐ」とはすなわち利益を上げることだが、それを「現在の利益」と「将来の利益」に分けて考えることが必要だ。
「現在の利益」は、今やっているビジネスの生産性を高めることで上がる利益であり、

  1. 売上を上げる
  2. 変動費を下げる
  3. 固定費を適切に活用する

の三つに集約される。
これは、会計の本を引っ張り出さなくても経営の実務を学べば必ず出てくる事柄だが、それを管理者と現場スタッフのチームとして、仮説検証しながら改善できるようにするトレーニングがされないとなかなかうまくいくものではない。
そのための財務に関する教育や、試行錯誤を許す権限委譲も必要だ。

一方の「将来の利益」は少し難しい。
現在のビジネスを回しながら、次のビジネスの種を見つけ、育てていく取り組みが必要だ。
しかも、基本的には

「現在の利益」と「将来の利益」はトレードオフ

の関係にあり、片方を上げるためにはもう片方を抑えなければならない。
その割り振りをどうするかというのが、大きな経営判断であり、戦略策定の境界条件となる。
それをちゃんと意識してやれるか、流れに身を任せるかで大きな差ができる。
うちの会社でも、一時期「現在の利益」を極限まで犠牲にして、「将来の利益」を生み出すことに資源を集中したことがある。
正直、会社は倒産寸前の状態まで行ったが、事業の幹を作ることができたおかげでその後の展開がとてもやりやすくなった。
「将来の利益」は、経営者としては常に意識しなければならないことがらだ。

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仮説検証プロジェクト

今回の「学ぶ職場」ゼミでは、「現在の利益」または「将来の利益」につながる取り組みを、期間限定のプロジェクトとして実行していただいた。
社内でプロジェクトメンバーを決め、ゴールを設定し、仮説を立て、ひとつひとつ検証するということを実体験していただいたことになる。
それを実現するためのツールとして、日報や面談の手法などもお伝えした。

仮説検証のプロセスは、実は二段階に分かれる。
第一段階は、現場スタッフやマネージャーが、顧客とのやり取りの中で日常の業務を改善し、顧客満足を高め生産性を上げるプロセスで、これは「現在の利益」の向上につながる。
第二段階は、現場での取り組みを通して

イノベーションの種

となる可能性のある取り組みを多数生み出し、それを全社戦略に結びつけることだで、これを意識的に実行できる「変革型」あるいは「創発型」マネージャーが育つことで、企業は環境変化への適応力や、変化を生み出す力を高めることができる。

多様なチームメンバーが協働して生み出すものの中から、適切なものを全車戦略に取り込み、そうでないものを淘汰する

言い換えれば創発型戦略のコーディネートこそが、「学ぶ職場」でのマネージャーの仕事なのだ。

実践報告とノウハウの共有

今日の成果報告では、ご参加いただいた企業の皆さんに、約二ヶ月の取り組みのプロセスと成果をご報告いただいた。
後ろで聞きながらずっと唸ってしまうような内容ばかりだったが、その中でも特に印象深かったものをふたつほどここにまとめておきたい。

ひとつ目は、製造業の事例。
こちらでは仮説検証のプロセスまでは進まなかったが、製造現場のスタッフに業務報告だけではなくその日の「気づき」を含む日報を書いてもらうことに成功した。
「なんだそんなことか」と思割れるかもしれないが、中小企業の製造現場で、特にベテランスタッフにこのような日報を毎日書いてもらうには、上司や経営者が本当にそれを必要としており、スタッフの成長を望んでいるということを、言葉ではなく行動で示さないとなかなか難しい。
こちらの企業では、どんなに日報の記載が少なくても、経営者自らが一つ一つ丁寧に問いを立て、スタッフに投げ返すことで、少しずつ記載内容が変わっていくさまが見て取れた。

ふたつ目は、サービス業の事例。
これまで取り組んでいた利益向上のための取り組みを一旦全て見直し、最重要指標をひとつに絞り込んだ、
若手のマネージャー候補をプロジェクトリーダーに、影響力の大きいベテランをサブにチームを編成し、最重要指標に合わせてすべてのオペレーションと評価の仕組みまでも再構築してしまった。
その中で、現場スタッフの仮説検証プロセスをどんどん進めようとしている。
教科書に載せたいくらいの戦略的な動きを、日常の現場のマネジメントと並行して進めているあたりに、凄みすら感じる事例だった。

他にも、固定費の活用や、社内で財務の数字の意味を伝える取り組みなど、多くのノウハウが共有されたが、個別の企業さんの情報を外に流すわけにも行かないので、支障のない範囲でのご紹介にとどめたい。

おわりに

この講座の最終目標は創発型戦略が生み出される組織づくり。経営者が定めた将来戦略と、現場での仮説検証によって生み出されるイノベーションの種をミドルマネージャーが結びつけ、戦略を進化させることができる企業になることだ。
それは、

顧客や社会に新たな価値を提供することに挑戦し続け、高い収益を上げ続ける企業

でもある。

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複雑適応系のマネジメント理論とアクティブラーニングの組み合わせは、そんな企業を増やすことに貢献できる。

そんな企業が増えたら・・・かなり楽しいと思いませんか?

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コメント

    • 中根巳貴男
    • 2016年 11月 09日

    松崎先生、ありがとうございました!
    後ろで聴いていて震えるほどの感動を覚えました。
    この講座にこのようなアクションを生み出すチカラがあるということです。
    本当に感謝しかありません。

      • 松崎光弘
      • 2016年 11月 13日

      中根さま

      今回のセミナーでは、随分と無理を聞いていただき、ありがとうございます。
      おかげさまで、最後にあのような素晴らしい成果共有ができました。
      本当に良い企業様ばかり集めていただいたと感謝しております。
      さらにお役に立てるように、ブラッシュアップしてまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

      自分のブログなのに反応が遅くて失礼しました

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