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「きたかみ世界塾」最終報告会

岩手県立黒沢尻北高校での地域課題解決プログラム「きたかみ世界塾」の最終報告会に参加した。

このプログラムは、同校の一年生向けの「総合的な学習」のプログラム。
数人でグループを作り、大まかに提示された地域の問題の中から、自分たちが取り組みたいものを選んで、解決策を考えようというもの。
いわてNPO-NETサポートの菊池さんが全体コーディネーターとなって進められた。

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このプログラムには、以下のようなおもしろい特徴がある。

  1. 地域の問題を課題化するプロセス
    地域の中で「課題」といわれているものの大半は「現状」でしかない。地域のあるべき未来像をイメージして初めて「課題」となる。参加した子供たちには、まず、地域の現状に対して「本当はこうだったらいいのにな」という理想をイメージするところからスタートした。
  2. 課題を確認するプロセス
    地域の未来像と現状とのギャップを見極めいったんの課題設定をした後、その課題設定が正しいのかどうかを夏休みを使ったフィールドワークで検証した。高校生らしく、「若気の至り」で地域の人にご迷惑をおかけした部分もあったそうだが、先生方がどっしり構えていて、大きな問題になることはなかったという(先生方すげぇ!)。
  3. 教員とメンターの役割分担
    このプログラムには教員だけではなく、北上市役所の若手職員がメンターとして参加した。彼らの研修の中で、教員は人づくりのプロ、市職員はまちづくりのプロというコンセプトが生まれ、それに基づいた役割分担がされた。
    先生方は、子供たちのアウトプットのレベルに引きずられることなく、とことん待ちの姿勢で自ら学べるようになるための問いを投げかけ、市職員はまちづくりの観点からの問いとアドバイスを投げることに専念した。
    県立の高校と市職員のコラボレーション自体、よそでは聞いたことがないシチュエーション。それに加えて、それぞれがプロ意識を持って生徒たちに相対したのはとてもよい形だといえる。

今日の報告会では、各クラスから生徒たちの投票で選ばれた代表6チームと、メンター推薦の4チームが自分たちの「地域課題解決プラン」を発表した。
中には、プランだけではなく実行まで進み、その様子をビデオに撮ってtwitterに投稿したチームや、地域の文化祭に交渉して地元野菜を使った商品を売り込みにいったチームもあった。
取り組みの初年度とは思えない見事なアウトプットだった。

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とはいえ、大事にしたいのはアウトプットだけではない。
アウトプットに至るプロセスで彼らがどのように学んだかという点を振り返る必要がある。
報告会の後、グループ単位で、チーム内での取り組み姿勢や、地域への波及効果についての振り返りをみっちりおこなった。
この振り返りがあるかないかで、教育効果に大きな差が出るのは当初から予想されており、タイトなスケジュールの中ではあったが、無理矢理時間を通って取り組んだ

振り返りの最後にコメントを求められたので、こんなお話をさせていただいた。

学ぶということは、より大きな世界を理解することができるようになる営み。
はじめは自分や家族、友人。それが地域、日本、やがてはよその国々、全世界へと広がっていく。
より大きな世界を認識できるということは、より大きな世界と、そこに含まれる人々をハッピーにできるということ。
つまり、学ぶということは、自分と自分の大切な人をハッピーにすることにつながる。
だから、「世界塾」なんだ。

あえて抽象的に話したのだが、この「きたかみ世界塾」を経験した子供たちは存外素直に腑に落ちたらしい。
教育という仕事は極論すれば、子供たちが認識し影響を与えられる世界を広げること。
地域との関わりの中で学ぶということは、こういうことがちゃんと仕込める状態を指す。

諸年次にしてこれだけの学びができている「きたかみ世界塾」。
この先どこまで進化するのか、しばらくおつきあいさせていただこうと思う。

 

(蛇足)

子供たちの振り返りの後は、関わった大人たちの振り返り研修。
次年度の取り組みに向けて、がっつりと意見をはき出していました。
こちらも、菊池さんのナビゲートで、文句なしの状態。
いや、ほんとすごいものです。

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